
※本記事は、認知行動療法やアサーションそのものを否定する意図はありません。 私個人の経験として、復職後の職場環境によっては、学んだ対処法が十分に機能しなくなる場合がある、という一例を記録しています。
1. 導入:回復プログラムを経ても、再休職に至るケースがある
私は以前、うつ病の診断を受け、休職に至りました。
復職プログラムに1年半ほど参加し、認知行動療法(CBT)やアサーションの学習や実践を経て復職しました。
しかし、復職した職場では思いがけない出来事もあり、プログラムで学び得たことが機能しなくなる事態となりました。
結果、復職して1年半で再休職に至りました。
復職後に何が起きたか、その結果どうして認知行動療法やアサーションが機能しなくなったかを振り返りたいと思います。
この記事が、休職中の人や、就労中だけど心の不調を抱えている人へのヒントになれば幸いです。
2. 私が受けていた復職支援の内容
まず私が通院していたメンタルクリニックでは、復職支援制度が確立されており、一般的なメンタルクリニックよりも厳格な仕組みとなっておりました。
①平日毎日のデイケアプログラム
・復職後の継続就労を意識し、生活リズムの安定が最重要ということで、プログラムは毎日参加が原則でした。
・プログラムは、認知行動療法(CBT)やソーシャルスキルトレーニング(SST)のほか、自身の出来事を振り返るサイコドラマなどの他、職場での業務を模したグループワークなどもありました。
・上記のプログラムを通じて、自身の今までと現状、そしてこれからを考える内省や、自身が学び得たことをプログラム中に実践することで、自身の休職要因の特定や緩和・改善が図られていきました。
②ステップ制度及び復職判定による評価
私が参加していた復職プログラムは、自己評価とスタッフからの他者評価により、症状の緩和・改善の段階が明示されるシステムでした。
最終的には、「復職判定」を得て、職場に復帰するという仕組みです。
③復職直後の私の想い
上記の仕組みにおいて、私は平均よりもずいぶん時間をかけてステップを踏み、復職判定に至りました。
復職への心配や不安は合ったものの、段階を経て学び得たスキルや、自身の変容も実感できていたため、ある程度の手応えを持って復職に臨んでいました。
3. 復職後、想定していなかった出来事が起きた
しかし、復職後は思いがけないことの連続でした。
①復職後、わずか半年で異動
復職後はストレスも大きかったですが、まだ対処可能でした。
私自身の感覚では「この職場で数年働けば、安定してくるかな?」というものでした。
そのため、人事異動の希望についても現職場での継続を望む旨を提出していたところです。
しかしその希望は受け入れられませんでした。
「復職後わずか半年での異動」、「私に配慮してくれない職場」、この2点が私に強いショックを与えました。
復職して半年の異動辞令をきっかけに、私のメンタル不調は明確に悪化したと感じました。
異動事例を見た瞬間の心臓の激しい脈動は今も忘れることができません。
②異動先の上司が私の休職要因の元上司
望まぬ事態は続くものです。
異動先の上司は、「私が休職するきっかけとなった元上司」でした。
人事異動は言ってみれば複雑なパズルのようなものだと思っています。
もちろん私一人の要望が100%叶うことなど無いでしょう。
それでも、「組織は、私の休職要因について認識していないのか無視しているのか、、、」と自身の無力感に悲しみを覚えました。
結局、不本意な異動と元上司の存在が重なり、私のメンタル不調は累積していきました。
③業務過多・困難さ
この時点で私の状態はすでにギリギリだったと思います。
それでも業務を遂行できるのであれば、まだ就労継続の目はあったかと思われます。
とどめを刺したのが業務遂行の困難さでした。
私の能力が低い、と言えばそれまでですが、私にとっては振り分けられた業務の質や量ともに過剰な内容でした。
私の現状と組織側の認識に大きな齟齬が生じていたのだと思います。
④ここで学び得たこと
・不本意な異動
・休職要因の元上司
・業務遂行困難
いずれか単体であれば乗り切れたかもしれません。
しかし複合的にストレス要因が生じると、「足し算ではなく、掛け算的に負荷が増大」します。
職場ガチャ、職場環境の当たり外れは避けられないものです。
ただ、私にとっては当時の心身状態では「職場環境の許容度」が著しく下がっていたのかもしれません。
4. なぜ、学んだはずの対処法が機能しなくなったのか
それでも異動後などは、上手くいかない出来事があるたびに、認知行動療法の観点で対処を図れていました。
しかしいつからか、認知行動療法が機能しなくなっている自分に気が付きました。
認知行動療法は複数のアプローチがあると思いますが、私のそれは下記のとおりです。
①客観的な事実の書き出し
②瞬間的な思考の把握
③生じた感情の把握
④思考に対する反証
⑤異なる行動の実践
⑥行動後の感情の把握
私は、日々の負荷ですっかり疲弊してしまい、いつしか④の反証ばかりを行い、⑤の異なる行動の実践をおろそかにしていたのです。
反証がただの言い訳になり、その言い訳も自分の本心には響かない状態です。
これにより、認知「行動」療法が機能しなくなったといえます。
しかし仕方ない部分もあります。
私は認知行動療法の根幹は「試行錯誤・トライアンドエラー」にあると思っています。
しかし、うつ症状も強く出て、疲弊した心身では、すでに「試行錯誤するだけのエネルギーが残っていなかった」のです。
これが私の認知行動療法の限界でした。
※これはあくまで私のケースであり、CBTが多くの人にとって有効であることは変わりません
5. 再休職という結果について、今考えていること
こうして私は、再休職しています。
2度目の休職は、復職のハードルが高くなります。
復職時にある程度の自信を持って臨んだのに通じなかったためです。
次に復職するには一体何が必要なのか?私はまだ答えを出せていません。
そもそも「私が職場の要求水準に至っていない」という思いが高まる一方です。
今の私はブログ執筆も含めて、復職以外の道を模索しているところです。
6. 同じ状況にいる人へ
もしもこの記事を読んでいる人で、復職間近、もしくは復職したが上手く言っていない人がいたならば、ぜひともお伝えしたいことがあります。
①自信を持って復職しても想定外のトラブルは起こり得るということ
復職に至るには何かしらの区切りが必要です。
「ここまで心身が整った」、「このスキルを得た」と思い至ったから復職を決意します。
しかし、その判断基準は「あくまで自分の中のもの」でしかありません。
私のように「想定外のトラブル」が起きることは大いにありえます。
そのため、一定の覚悟と複数のセルフケア手段を用意しておくことをオススメいたします。
②ときには無理をする場面もあるが、決して無理をしすぎてはいけないということ
結局、私は復職後1年半で再休職しました。
私としては「無理しすぎた。もっと早く再休職すればよかった」と後悔しています。
2度目の休職は復職が困難だというイメージは就労中も持っていました。それ故に休職の判断が遅れ、頑張りすぎてしまいました。
その結果、私はかえってメンタルに深い傷を残してしまった、そう思っています。
無理のしどころと、早めの撤退の判断は長い人生を生きる上で大切なことだと思います。
すでに自分自身の判断が危うくなっていることも考えられます。
親しい人への相談や医療機関の受診は早期に行うことをオススメします。
7.おわりに
再休職中の今の私の自己評価は「継続就労が非常に困難」としています。
これは怠惰だと受け取られる考えなのかもしれませんし、実際に職場や社会はそれを容易には認めてくれません。
依然として私と世界のズレは残されたままです。
ただ、当時を振り返ると「想定外の事態において、無理をしすぎた」結果、今の状態にあるのは一定の事実なのかなとも考えています。
ただ生きることの何と難しいことか、そう思えてなりません。
それでも、生きることの難しさを実感しながら、こうして記録を残せていること自体に小さな意味を見出しているのかもしれません。
本記事は結論を出すためのものではなく、あくまで現時点での整理と記録です。
読んでいただいた方が「より生きやすくなる」ヒントになっていただければ嬉しい限りです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました🐻