なぜか忘れられない一言がある。意味は分からないまま、今も残っている

なぜか忘れられないフレーズに思いをはせる眼鏡をかけた茶色のキュートな漫画風のクマ

「最近の料理は何でもチーズをかけてオーブンで焼けば良いと思っている」

1. なぜか忘れられない一言がある

理由は分かりません。
何かの教訓になったわけでも、人生を変えた言葉でもありません。
今となっては、正確な場面や相手の顔すら思い出せない。

それでも、その一言だけが、ずっと残っています。


その言葉は、誰かが少し苛立った調子で口にした、料理についての愚痴でした。
特別に面白い表現でもなく、深い比喩があるわけでもありません。

今思えば、どこにでもありそうな一言です。

なのに、なぜか消えない。

2. あたりまえに、うまく染まれなかった頃

当時の私は、環境にも自分にも、うまく馴染めずにいました。
何が苦しいのかを説明する言葉も持っておらず、
「頑張れば何とかなる」という空気の中で、静かに削られていた時期だったと思います。

詳しい状況は書きません。
特定につながるような話をしたいわけでもないからです。

ただ一つ言えるのは、
その頃の私は、「あたりまえ」とされているものに、どうしても染まれなかった、ということです。


効率的であること。
無難であること。
みんながやっていること。

それらが悪いわけではない。
でも、どこかで「雑に扱われている感じ」がして、
うまく受け入れられなかった。

あの一言に、なぜ反応したのかは、今も分かりません。
怒りだったのか、共感だったのか、それすら曖昧です。

3. ただ本音をこぼした人の記憶

その言葉を口にした人は、私の事情を深く知っていたわけではありません。
相談に乗ってくれたわけでも、助言をくれたわけでもない。

ただ、自分の感覚を疑わずに、ぽつりと本音をこぼしただけの人でした。

そして、別れ際に、何も解決しない形で、ただ祈ってくれた。
理由も、条件も、評価もなく。


不思議なことに、
私はその祈りよりも、あの何気ない愚痴のほうを、ずっと覚えています。

なぜなのかは、説明できません。

4. 意味は分からないまま、残り続けている

人は、ときどき、意味の分からない言葉を一生抱えて生きることがあるのだと思います。
役に立たず、整理もできず、物語にもならない言葉を。

でも、それが消えないという事実そのものが、
その人がどう世界を見ているかの輪郭なのかもしれません。

私は今も、あの一言がなぜ残っているのか分からないままです。
答えを出すつもりもありません。

ただ、理由は分からなくても、
確かに自分の中に残っている言葉がある。

そのことだけは、はっきりしています。

t-kuma.net