東北〜北海道南部の家庭で受け継がれてきた汁物|鯨汁~我が家の味

鯨汁をつくるT-Kuma(実際とは異なる、あくまでイメージイラストです)
鯨汁をつくるT-Kuma(実際とは異なる、あくまでイメージイラストです)

1.導入:鯨汁という、少し説明が必要になった料理

 鯨汁(くじらじる)という料理があります。

 名前を聞いたことがある人はいても、

 「どんな料理か」「どうやって作るのか」を説明できる人は、

 今ではそれほど多くないかもしれません。

 私の実家では、鯨汁は特別な料理ではありませんでした。

 おせち料理と同じように、年末にまとめて作られ、

 正月の間、何度か温め直しながら食べる、ごく日常的な汁物です。

 この記事では、

 正確さを競うレシピというよりも、

 一家庭で実際に作られてきた鯨汁の記録として、

 作り方と、その背景を書き残しておきたいと思います。

鯨汁(クジラ汁)
鯨汁

2.地域について

 この鯨汁は、東北から北海道南部にかけての地域で見られた、一家庭の作り方です。

 春に山で採った根曲がり竹や山菜、乾物が入ることからも、

 特定の料理店の味ではなく、

 その土地の台所にあった材料で作られてきた汁物です。

 いわゆる「郷土料理」と断定するよりも、

 このあたりの家庭で、自然に作られていた料理、

 その一例として捉えてもらえればと思います。

3.鯨汁の意義

 鯨汁は、おせち料理と同じ役割を担っていました。

 年末に主婦が大量に作り、正月の料理の負担を軽減するための料理です。

 毎食、新しく料理を作らなくても、

 鍋を温め直せば、野菜と脂の入った汁物がすぐに食卓に出せる。

 正月の「ハレ」の料理を支える、

 生活の側にある「ケ」の料理だったとも言えます。

4.材料(4人分・目安)

※主婦の料理のため、材料・分量はすべて目安です。

・塩くじらの脂身(塩漬けブロック)……200g

 ミンククジラ推奨

 ※ツチクジラやイルカは柔らかく、食感が異なります(好む人もいます)

・豆腐……1丁

・こんにゃく……1枚

・大根……300g

・人参……50g

・わらび(塩漬け)……100g

・ふき(塩漬け)……50g

 ※塩漬けの場合は塩抜きが必要

・ごぼう……1/2本

・しいたけ……2枚

・根曲がり竹……10本

 ※よく春に採ったタケノコを保存食として瓶詰めにしたものが使用されます

・高野豆腐(凍り豆腐)……50g

・だし汁……6カップ

・酒……大さじ1

・醤油……大さじ2

・塩……少々

 材料に山菜、生野菜、乾物、瓶詰めが混在していますが、

 その理由は、春に採って保存していた食材を、冬に手元にある野菜と共に使用していたためです

5.作り方(目安)

① 鯨の塩抜き

 塩を水道水で洗い流します。

 幅1cm、長さ2㎝、厚さ2㎜にカットする。

 塩くじらは、水からゆでます。

 沸騰後、1〜2分ほどしたら湯を捨てる。

 この工程を3回繰り返します。

② 下ごしらえ

 こんにゃくはスプーンでちぎります。

 大根、人参は短冊切りにします。

 わらびは3cmほどに切ります。

 ごぼうはささがきにします。

 しいたけは千切りにします。

 ふきは5mmほどの輪切りにします。

 高野豆腐は水で戻し、

 一口大の薄切りにします。

 根曲がり竹は、

 3cmほどの斜め薄切りにします。

③ 煮る

 鍋にだし汁と、②の野菜、鯨肉を入れます。

 豆腐を手でほぐしながら加えます。

 煮立ってきたら、何回かアクを取ります。

④ 調味

最後に、酒、醤油、塩で味を整えます。

6.なぜ、こういう作り方なのか

6-1.なぜ鯨の脂身なのか

 鯨汁に使われるのは、赤身ではなく脂身です。

 理由はいくつかあります。

・塩漬けにすることで保存がきいたこと

・冬に貴重な脂質と栄養を摂ることができたこと

・昔は、クジラが比較的手ごろな価格で入手できたこと

・脂が入ることで、体が温まる実感があったこと

 贅沢だから使われていた、というより、

 合理的だったから使われていた部位だと言えます。

6-2.豆腐はいつ入れるのがよいか

 豆腐は、最初に野菜と一緒に入れても、最後に入れても構いません。

 実のところ、

 特に深い意味はありません

 家庭によっては最初から入れることもあり、

 最後に入れる家もあった、

 それくらいの差だったように思います。

6-3.なぜ味付けが薄めなのか

 鯨汁の味付けは、比較的あっさりしています。

 これには、いくつか理由があります。

・時代とともに、塩分を控えるようになっていったこと

・鯨の脂身から、しっかりと旨味が出ること

・大量に作り、何回かに分けて温め直す前提だったこと

 何度も火を入れると煮詰まり、

 味は自然と濃くなっていきます。

 そのため、最初から濃い味にする必要はありませんでした。

7.いま振り返って思うこと

 今では、鯨肉そのものが手に入りにくくなりました。

 材料をそろえるだけでも、

 少し説明が必要な料理になっています。

 かつては当たり前だったものが、

 言葉を添えなければ伝わらなくなってきた。

 それでも、作り方を振り返ると、

 鯨汁はとてもシンプルな料理です。

 ただ、一生活の中で受け継がれてきた汁物

 だったのだと思います。

8.参考情報

※鯨汁は、北海道の郷土料理として、

 農林水産省の資料にも記載があります。

www.maff.go.jp



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